先日の夜、食後30分過ぎたあたりから左脇腹に差し込むような強い痛みが起きた。かなり強い痛みでうんうん唸っていると、便意が起きてきて苦労して力んで排便したら腹痛は嘘のようになくなった。その翌朝の朝食後、やはり30分過ぎたあたりでまた強い腹痛が起きた。同じように便意があり、排便すると前夜と同じように腹痛がなくなった。
これは只事ではないと感じてネットで色々調べてみたら、過敏性腸症候群という疾患に行き着いた。
過敏性腸症候群は心身症の一種であり、心理社会的ストレスによって腸の機能が影響を受け、腹痛や下痢、便秘などが起こる疾患である。症状には下痢を繰り返す下痢型、便秘が続く便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す混合型がある。最近では服用を始めたクエチアピンの副作用で便秘気味になっていて、下痢は起きなくなっていた。
振り返ってみると、かなり以前から下痢が1ヶ月続いたと思ったら2週間ほど正常になり、また下痢が1ヶ月続くといった症状があったことに思い当たった。また強い腹痛が起きるようになる少し前に、食後に短時間だけ腹痛の起きることが何回かあった。
今まではそれがどんな疾患なのか分からなかったが、今回の腹痛が排便で解消するということから、過敏性腸症候群の症状である可能性の強いことが分かった。
正式な診断には胃腸科などで大腸内視鏡検査を受けて、大腸癌や大腸の炎症などの疾患を除外する必要がある。だが大腸内視鏡検査は何度か受けたことがあるが、大腸をカラにする作業が大変だったり、内視鏡検査そのものにかなり痛みが伴ったりすることから受けることには気が進まない。
正式な診断を受けたとしても効果的な治療法がないことが分かっている。
ずっと前から下痢が続くという症状があったので、何年も前から過敏性腸症候群を発症していたことになる。それでも腹痛が起きることはなかった。それが最近になって起きるようになったことには、症状を悪化させる何らかの原因があるはずである。
それで思い当たるのはクエチアピンを服用するようになって、レキソタンを服用しなくなったことだ。心身症は心理社会的なストレスが原因なので、ストレスを軽減させるために抗不安薬が処方される場合がある。
その抗不安薬を服用しなくなって3週間ほどが経過した時に強い腹痛の症状が起きた。せっかくクエチアピンのおかげで断薬できたレキソタンであるが、過敏性腸症候群の症状を軽減させるために服用を再開することにした。
過敏性腸症候群は10%の人が罹る頻度の高い疾患であると言われている。心身症である1つの疾患だけで10人に1人が罹るとは驚きだ。心身症には非常に多くの疾患があり、それらを全て含めると5人に1人くらいが心身症に罹っているということになるのではないか。高血圧も心身症だとされているのでそれぐらいにはなるのかもしれない。
心身症になる人には自分の感情に気づきにくい失感情症(アレキシソミア)という性格傾向があるとされている。ストレスを受けていてもつらいという感情を自覚できず、ストレスが身体器官の症状として現れるという。
私は失感情症のテストを受けてみたことがあるが、失感情症の傾向があるという結果となった。20代の頃に十二指腸潰瘍になり、胃の3分の2を切除する手術を受けたことがある。失感情症は性格傾向なので、その頃から今でも心身症になりやすい傾向には変わりがないということなのだろう。
実際のところ何がストレスなのかが分からない。今は仕事を引退したが、毎日決まった時刻に起きて決まった時刻に就寝している。毎日ネットをしたり、テレビを見たり、本を読んだり、音楽を聞いたりしている。側から見れば随分気楽な生活に見えるだろう。
これのどこがストレスなのだろうか。強いて言えば自分にとっては生きること自体がストレスなのかもしれない。