統合失調感情障害日誌

統合失調感情障害を患っている管理人のこれまでの日誌です

他人の咳払いが自分への当てつけに聞こえる

30歳ごろ、急に周りの視線が気になり出した。駅のホームを歩いていたときに周りの人たちが自分に注目しているように感じられた。車内に入って電車が動き出してからも車内の人たちが自分を見ているように感じて緊張した。

それがあってから出勤途上でも他人の視線を意識して緊張するようになり、歩き方がぎごちなくなった。すると後ろを歩いている人が咳払いをするようになった。後ろを歩いている人を意識した不自然な歩き方は見てわかるので咳払いされているのだと思った。

それから1〜2年経った頃だったと思う。出勤途中である初老の会社員とすれ違った。その会社員がすれ違い様に咳払いをしたのだ。私は彼が咳払いをしたのは、私が泣いたような表情をしていたために、馬鹿にしたのだろうと思った。もうその頃には後ろを歩く人から盛んに咳払いされていて、精神的に弱っており、それが表情に現れるのだ。

実際、鏡を見ても泣いたような表情をしている。「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるが、「口は目ほどに物を言う」という言い方が当てはまる。目だけを見ても笑っているか泣いているかは分かりにくいが、口元を見れば笑っているか泣いているかはすぐに分かる。口元で表情が泣いているように見えるのだ。

街中を歩けばすれ違いざまに大きな音を立てて咳払いをされる。

咳払いという言葉の意味を国語辞典で調べると「存在を示そうと、​わざと咳をすること」とある。咳払いは他者に向けてなされる咳であり、その点で単なる咳とは異なる。私に咳払いをしている人は、泣き顔をしている人に向けて不快の念を咳払いで表現しているのだろう。

ある朝、出勤のために京王井の頭線の吉祥寺駅で渋谷行きの電車に足を踏み入れた瞬間、電車の入り口横に立っていたNHKの三宅民生アナウンサーにめっぽう大きな音で咳払いをされた。まさに絶妙なタイミングだった。アナウンサーの顔はテレビでよく知っていた。

すれ違い様に咳払いされる頻度は、50〜60人に1人くらいである。人通りの多い道では数分に1回は咳払いされる。一方、普通の人が街を歩いていても、すれ違いざまに相手が咳払いすることは滅多にないと思う。

この症状は表情恐怖といい、確信型対人恐怖の1類型に含まれる。現在では社交不安症という疾患名が一般的だ。精神医学的には不安障害に分類される思い込みの一種だが妄想的確信と言えるほどに思い込みが強い点に特徴がある。